[レポート]一歩先行く!ツール活用で制作効率アップ
2012.07 29

今回のセミナーは全部で5セッションと非常に盛りだくさんでした。特徴的だったのは、講師陣5名の内、3名がプログラマーだったことではないでしょうか?Web制作というとフロントエンドに注目されがちなのですが、制作フローに沿って要所を抑えていくセミナーになったと思います。

抱える課題は立ち位置によって違う

セミナーでは効率化を行う目的、効率化の後のことについては講師の立場によって伝え方が異なっていたと思います。私が扱ったテーマ「バージョン管理」では、「機械化できることはして、人間にしかできない事に集中しよう」という主旨でした。

バージョン管理のデモで反応が良かった部分は、コミット済みの画像と編集後の画像の比較ができるところでした。
フロントエンドの人間にとっての課題は、大量の画像書き出しといったテキストではない成果物の管理。画像もバージョン管理できるというアプローチは当初、キャッチーに理解できる例示として考えましたが、結果的にフロントエンドをメインとする方々が日々抱える問題を解決する例示となっていたようです。役立つ内容を提供できたようで嬉しかったですが、プレゼンテーション制作は要求分析そのものなので、さらに精進しようと思いました。

何のために効率化するのか?効率化の先にあるものは?

私の主旨は「機械化できることはして、人間にしかできない事に集中しよう」でしたが、効率化できて人間本来の仕事に集中できたその先には何があるのでしょうか?

懇親会で話していた時に振り返ることができたのですが、近年のサービスやアプリケーションは「無料」「簡単」といった敷居を下げるキーワードに終始するケースが多いです。これは消費の仕方を示唆するだけで、「それを使ってどうなるの?」「どう組み合わせればいいの?」「自分のケースには当てはまるの?」というような「先」が提示されません。我々、制作者・開発者は生産者です。

点を提供するよりも、何を生産できるようになるのか、どんな利益を得られるようになるのか?すでに駆使して利益を得ている人間はどんな世界を見ているのか?といったモデルケースを提示すること、つまり線を提供することで、試してみよう、挑戦しようというポジティブな行動の引き金になると思います。行動する人が増えれば、続こうとする人も増えます。その連鎖が、デファクトスタンダード化やパラダイムシフトといった動きになるのでしょう。

自分にとっての効率化の先を考える

自分の事例をあげると、適切なフレームワーク採用によって、作業期間は見積もり1ヶ月の内容が2日で実装できるようなケースが出てきました。余剰工期は、インターフェース設計をはじめとした使い勝手のブラッシュアップに適用。

結果、第1版から品質の高いものを提供できたのでクライアントから即OK。差し戻しもなく、互いに気持ちよく次の工程に入ることでポジティブな連鎖が生まれ、以降の内容が進めやすくなったり、信頼の獲得につなげられました。
もっと言えば、作業だけでなく考える時間についてもらえる対価の比率があがっています。自分で納得のいく対価は、メンタル上でも非常に健全で価値の高いものです。

良い例ばかりではありませんし、そこに至るまで、たくさんの失敗や試行錯誤がありました。しかし、効率化によってどんな利益を得られるようになるかの「先」として1つの例でしょう。

目前よりも少し先を意識してみる

車やバイクの教習を受けたことがある人は知っているかもしれませんが、目前より少し先の目標物を見たほうが運転しやすくなります。目前を見ると視野が狭くなり、危険予測などに影響が出るためです。
効率化によって得られた利益をどうするのか?新たに投資するのか、別な用途に転換するのか、それは人によって違うと思います。

大事なのは効率化した先を考えて、制作環境の見直し・ツール導入を検討することだと思います。効率化の前には、必ず試行錯誤のコストが発生するからです。自分にとって、何を効率化することがベストなのか?今回のセミナーが見直し、振り返りの機会になれば幸いです。

この記事へのコメント

今後のWebサイト制作との向き合い方を改めて考える
2012.05 29

2012年5月26日に開催された、NPO法人 あおもりIT活用サポートセンターによる第1回セミナーのレポートです。途中からの参加ではありましたが、金言とこれからの活動へのヒントに溢れ、充実した内容でした。第2回も楽しみです。

NPO法人 あおもりIT活用サポートセンター最初の活動として、第1回目のセミナーとなる「今後のWebサイト制作との向き合い方」が終了しました。私はレポートとして会場の様子というより、講師の発表内容から感じ取ったこと、考えたことをピックアップしたいと思います。

利用者にも製作者にも有益なWebサイトとは?

今回のセミナーのテーマです。前回記事「フリーランスの製作者が考えるべきプロジェクトのバランス」では、利用者(以下、ユーザ)と製作者の他に発注者(以下、クライアント)という立場を加えていました。製作側にいると、ユーザとクライアントを履き違えてしまうケースがあります。

クライアントにとっての顧客であるユーザに利益がもたらされるバランスでないと、クライアントの事業継続に支障が出ます。やはりプロジェクトの関係者として、どういう立場があるのか?それぞれにとって有益とは何をさすのか?この視点がまず無くては始まらない、と思います。

詳しくは後述しますが、Webという言葉が入ったセミナーでビジネスにおいてWebを前提に考えるべきなのか?という疑問はポイントだと思います。

プロトタイピングの落とし穴

長谷川 恭久さん(@yhassy)のセッション、諸事情で途中参加のため内容を把握できていなかったのですが、プロトタイピングというテーマは実際の案件で使っていることもあり、常々考えていたことについて質問させてもらいました。

私の場合、プロトタイピングとスパイラルフローの組み合わせで案件に取り組むケースが大半です。要件定義から基本設計、機能設計あたりまでは、予算と納期の線引きをするためにウォーターフォールというハイブリッドな進め方です。

実装フェーズに入り、優先度の高い機能からプロトタイピングが始まります。仕様が変わるケースもありますが、それは洗練されていく過程として必要です。先にわかる、というのが大事です。

プロトタイプを見て出た追加要望への線引きはどうするか?

難しいのは追加要望のケースです。予算と納期があるので、とピシャっと冷水を浴びせるのは簡単です。しかし、そこで芽を摘むことが今後に影響が出るかどうか見極めなくては行けません。実際に追加する場合の影響範囲も重要です。

長谷川さんからいただいた回答としては以下でした。

  • 案件のファシリテーターとしてバランス感覚を保つこと
  • 製作者内部ではデザイン原則を持っておく
  • 対クライアントには最終ゴール、目的の共有を文書で行うのも効果的

プロトタイピングは最初に考えたとおりに作るという意味ではありません。最終的に出来上がったものが仕様と言えると思います。つまり途中での紆余曲折も受け入れるということですが、本来の目的がぶれないように進むことが肝要であり、難しい点です。特にプロジェクトの利害関係など、様々な要因が絡んでくると尚のこと難しくなります。

アジャイル開発の要素がこの辺には含まれるのですが、Web制作も同じソフトウェア業界なのですから制作プロセスに取り入れていく時期なのでは。(あまり単語としてすら出てこないので)

加えて、ちょうど記事としてファシリテーターのバランス感覚について書いていた途中もあって、やはり、と思う部分が多かったです。今回の回答を受けて、後日の記事でもう少し掘り下げたものをまとめてみたいと思います。デザイン原則について調べるにはAppleやMicrosoftのガイドラインも有名ですが、他にもたくさんあります。長谷川さんが配信している Automagic Podcast #39 もオススメです。デザイン原則などについて考え方の糸口を共有してくださっています。

うどん県のプロモーションは是か非か?

高畑 哲平さん(@teppeitakahata)のセミナーは初めてだったのですが、頭の中を筋道立てて整理してもらうような感覚を覚えました。セッション内容は書籍タイトルにもなっているWebマーケティング思考トレーニングということで、マーケティングという視点での考え方についてエッセンスがたくさん出ていました。

その中で、うどん県のプロモーション方法について高畑さんの持論が展開されたのですが、考察するにあたってポイントになると思った点は以下のとおりです。

  • 国交省の都道府県別宿泊者数で香川県は下位で成長率もマイナス
  • 関西圏で香川県はうどんのために日帰りできる場所
  • うどんは単価が低いので収益率が低い
  • B to C としては、うどんという目的に対して旅費¥40,000は高くないか?

高畑さんは常に商品力が最優先とおっしゃっていましたが、魅力的な商品を開発といっても回収率と商品を提供する環境も含めて総合的な判断が必要なのだとも解釈しました。

翻って青森県はどうなのか?

青森県の場合、商品と言えるコンテンツはもう十分すぎる程ある、と個人的に感じています。ただ、内需でまかなえたり販売力が弱いため埋もれているケースが多く見られます。

商品力として単品ではなく統合された状態、つまりパッケージングが最適化されていないために競争力に乏しいのではないかと私は思っています。北に行こうとしたら、青森県を飛ばして北海道まで行くと思います。北海道というパッケージングに期待していくのであって、実際に旅行してみると分かりますが、個別の商品力に関しては青森県は引けをとらないものが多々あります。しかし、そう認知されていません。

商品力というと個別に製品として考えそうですが、パッケージとして考えなければ販売チャンネルとプロモーション方法が乏しくなり、リーチしたいターゲット層をカバーできないだろうと思います。

Webの立ち位置はどこか?

マーケティングの4P(Product, Price, Place, Promotion)は更に2グループに分けられるそうです。

  • 商品力(Product, Price)
  • 販売力(Place, Promotion)

往々にして商品力にまず注力すべきということですが、Webの立ち位置は Place つまり販売チャンネルという位置づけでした。私も同感で、商品開発や企画をしている時に Web という単語は出てこないというのを高畑さんの言う通り実感しています。

Webを使おう、となるのは商品の特性や流通方法に物理的な制限があるからこそであり、拡散力や窓口の一本化などを期待しています。また懇親会で伺った内容ですが、JimdoのWebサイト設計の思想として商品力のみに注力できるようにしてあるのがポイントとのこと。

これもかなり重要な考え方なので実践しようと思いました。商品力に集中できる体制づくりは、販売力を担う部分でも考えておくべきなのでしょう。

思考力を磨いていくために

最後にこのセミナーでキーとなる言葉についてまとめたいと思います。

事業を一気通貫して売れる戦略を書く

マーケティング活動において、商品があり流通や消費があり、ユーザの手元に届いてからも体験として受け入れてもらえるか?リピーターとなってもらえるか?など、全体の流れを具体的にイメージできているのかが大事だと思います。私はこの戦略に UX も含まれていると考えています。

日常生活を経験とする

長谷川さん、高畑さんが、なぜこれほどまでに思考内容を言語化、視覚化できるのか。その答えだと思います。ファシリテーターとしてのバランスも、マーケティング戦略の解決策も日常生活に散らばるヒントを考察し、振り返り、実践して蓄積しているということなのだと思います。

過去に「あなたはフリーランスとして生き残れますか?」という記事でも触れていますが、今どうするか解答を出せないとしても、自身をアップデートし続けるマインドさえあれば、あらゆるヒントをあらゆる場所に見いだせるはずだと考えています。

普段からアンテナを張っていない対象は、不思議と流れていくだけで残りません。生活や環境の変化によってアンテナも変わってきます。そういった自身の変化との向き合い方こそが、Web制作と向きあった時の成果として現れるのではないでしょうか。

ご来場の皆様を始め、講師のお二人、運営メンバに感謝を込めて。
すばらしい機会をありがとうございました。

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作者について

青森県内でソフトウェア・システム開発を行うフリーランスのプログラマー。元々は集中監視システム開発に従事。現在はウェブサイト製作・オンラインシステムの開発案件を中心に、プログラミングのスキルトレーニングや講演も行う。

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