今後のWebサイト制作との向き合い方を改めて考える
2012.05 29

2012年5月26日に開催された、NPO法人 あおもりIT活用サポートセンターによる第1回セミナーのレポートです。途中からの参加ではありましたが、金言とこれからの活動へのヒントに溢れ、充実した内容でした。第2回も楽しみです。

NPO法人 あおもりIT活用サポートセンター最初の活動として、第1回目のセミナーとなる「今後のWebサイト制作との向き合い方」が終了しました。私はレポートとして会場の様子というより、講師の発表内容から感じ取ったこと、考えたことをピックアップしたいと思います。

利用者にも製作者にも有益なWebサイトとは?

今回のセミナーのテーマです。前回記事「フリーランスの製作者が考えるべきプロジェクトのバランス」では、利用者(以下、ユーザ)と製作者の他に発注者(以下、クライアント)という立場を加えていました。製作側にいると、ユーザとクライアントを履き違えてしまうケースがあります。

クライアントにとっての顧客であるユーザに利益がもたらされるバランスでないと、クライアントの事業継続に支障が出ます。やはりプロジェクトの関係者として、どういう立場があるのか?それぞれにとって有益とは何をさすのか?この視点がまず無くては始まらない、と思います。

詳しくは後述しますが、Webという言葉が入ったセミナーでビジネスにおいてWebを前提に考えるべきなのか?という疑問はポイントだと思います。

プロトタイピングの落とし穴

長谷川 恭久さん(@yhassy)のセッション、諸事情で途中参加のため内容を把握できていなかったのですが、プロトタイピングというテーマは実際の案件で使っていることもあり、常々考えていたことについて質問させてもらいました。

私の場合、プロトタイピングとスパイラルフローの組み合わせで案件に取り組むケースが大半です。要件定義から基本設計、機能設計あたりまでは、予算と納期の線引きをするためにウォーターフォールというハイブリッドな進め方です。

実装フェーズに入り、優先度の高い機能からプロトタイピングが始まります。仕様が変わるケースもありますが、それは洗練されていく過程として必要です。先にわかる、というのが大事です。

プロトタイプを見て出た追加要望への線引きはどうするか?

難しいのは追加要望のケースです。予算と納期があるので、とピシャっと冷水を浴びせるのは簡単です。しかし、そこで芽を摘むことが今後に影響が出るかどうか見極めなくては行けません。実際に追加する場合の影響範囲も重要です。

長谷川さんからいただいた回答としては以下でした。

  • 案件のファシリテーターとしてバランス感覚を保つこと
  • 製作者内部ではデザイン原則を持っておく
  • 対クライアントには最終ゴール、目的の共有を文書で行うのも効果的

プロトタイピングは最初に考えたとおりに作るという意味ではありません。最終的に出来上がったものが仕様と言えると思います。つまり途中での紆余曲折も受け入れるということですが、本来の目的がぶれないように進むことが肝要であり、難しい点です。特にプロジェクトの利害関係など、様々な要因が絡んでくると尚のこと難しくなります。

アジャイル開発の要素がこの辺には含まれるのですが、Web制作も同じソフトウェア業界なのですから制作プロセスに取り入れていく時期なのでは。(あまり単語としてすら出てこないので)

加えて、ちょうど記事としてファシリテーターのバランス感覚について書いていた途中もあって、やはり、と思う部分が多かったです。今回の回答を受けて、後日の記事でもう少し掘り下げたものをまとめてみたいと思います。デザイン原則について調べるにはAppleやMicrosoftのガイドラインも有名ですが、他にもたくさんあります。長谷川さんが配信している Automagic Podcast #39 もオススメです。デザイン原則などについて考え方の糸口を共有してくださっています。

うどん県のプロモーションは是か非か?

高畑 哲平さん(@teppeitakahata)のセミナーは初めてだったのですが、頭の中を筋道立てて整理してもらうような感覚を覚えました。セッション内容は書籍タイトルにもなっているWebマーケティング思考トレーニングということで、マーケティングという視点での考え方についてエッセンスがたくさん出ていました。

その中で、うどん県のプロモーション方法について高畑さんの持論が展開されたのですが、考察するにあたってポイントになると思った点は以下のとおりです。

  • 国交省の都道府県別宿泊者数で香川県は下位で成長率もマイナス
  • 関西圏で香川県はうどんのために日帰りできる場所
  • うどんは単価が低いので収益率が低い
  • B to C としては、うどんという目的に対して旅費¥40,000は高くないか?

高畑さんは常に商品力が最優先とおっしゃっていましたが、魅力的な商品を開発といっても回収率と商品を提供する環境も含めて総合的な判断が必要なのだとも解釈しました。

翻って青森県はどうなのか?

青森県の場合、商品と言えるコンテンツはもう十分すぎる程ある、と個人的に感じています。ただ、内需でまかなえたり販売力が弱いため埋もれているケースが多く見られます。

商品力として単品ではなく統合された状態、つまりパッケージングが最適化されていないために競争力に乏しいのではないかと私は思っています。北に行こうとしたら、青森県を飛ばして北海道まで行くと思います。北海道というパッケージングに期待していくのであって、実際に旅行してみると分かりますが、個別の商品力に関しては青森県は引けをとらないものが多々あります。しかし、そう認知されていません。

商品力というと個別に製品として考えそうですが、パッケージとして考えなければ販売チャンネルとプロモーション方法が乏しくなり、リーチしたいターゲット層をカバーできないだろうと思います。

Webの立ち位置はどこか?

マーケティングの4P(Product, Price, Place, Promotion)は更に2グループに分けられるそうです。

  • 商品力(Product, Price)
  • 販売力(Place, Promotion)

往々にして商品力にまず注力すべきということですが、Webの立ち位置は Place つまり販売チャンネルという位置づけでした。私も同感で、商品開発や企画をしている時に Web という単語は出てこないというのを高畑さんの言う通り実感しています。

Webを使おう、となるのは商品の特性や流通方法に物理的な制限があるからこそであり、拡散力や窓口の一本化などを期待しています。また懇親会で伺った内容ですが、JimdoのWebサイト設計の思想として商品力のみに注力できるようにしてあるのがポイントとのこと。

これもかなり重要な考え方なので実践しようと思いました。商品力に集中できる体制づくりは、販売力を担う部分でも考えておくべきなのでしょう。

思考力を磨いていくために

最後にこのセミナーでキーとなる言葉についてまとめたいと思います。

事業を一気通貫して売れる戦略を書く

マーケティング活動において、商品があり流通や消費があり、ユーザの手元に届いてからも体験として受け入れてもらえるか?リピーターとなってもらえるか?など、全体の流れを具体的にイメージできているのかが大事だと思います。私はこの戦略に UX も含まれていると考えています。

日常生活を経験とする

長谷川さん、高畑さんが、なぜこれほどまでに思考内容を言語化、視覚化できるのか。その答えだと思います。ファシリテーターとしてのバランスも、マーケティング戦略の解決策も日常生活に散らばるヒントを考察し、振り返り、実践して蓄積しているということなのだと思います。

過去に「あなたはフリーランスとして生き残れますか?」という記事でも触れていますが、今どうするか解答を出せないとしても、自身をアップデートし続けるマインドさえあれば、あらゆるヒントをあらゆる場所に見いだせるはずだと考えています。

普段からアンテナを張っていない対象は、不思議と流れていくだけで残りません。生活や環境の変化によってアンテナも変わってきます。そういった自身の変化との向き合い方こそが、Web制作と向きあった時の成果として現れるのではないでしょうか。

ご来場の皆様を始め、講師のお二人、運営メンバに感謝を込めて。
すばらしい機会をありがとうございました。

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作者について

青森県内でソフトウェア・システム開発を行うフリーランスのプログラマー。元々は集中監視システム開発に従事。現在はウェブサイト製作・オンラインシステムの開発案件を中心に、プログラミングのスキルトレーニングや講演も行う。

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