自覚的デザインを目指す その2
2008.06 19

前回のエントリではModelからViewへの写像と、視線誘導における前提知識みたいなことをまとめてみました。今回は、視線誘導の形にどういった種類があるか考えてみようと思います。また、分析に加えてUIとして個人的に思うとこ […]

前回のエントリではModelからViewへの写像と、視線誘導における前提知識みたいなことをまとめてみました。今回は、視線誘導の形にどういった種類があるか考えてみようと思います。また、分析に加えてUIとして個人的に思うところも書いていきたいと思います。

  • 視線はZ、N、L、ランダムとリンクの組み合わせで構成される
  • 視線移動のヒントを視界の一部に捉えさせる工夫が必要
  • 視線の開始位置を基点に次を予測できるようにレイアウトを決めて行く

始点が左上か右上かで視線の方向は決まる

まず、ごく基本的な視線の動きを考えてみます。文章で考える場合、文章は文字列という1次元のModelです。それを最大の横幅が決まっている領域を持つViewに対して写像すると、「折り返し」が発生します。つまりX軸とY軸の2次元への写像となります。これを考慮して代表的な形式を考えてみます。

欧文(横書き)
Zの動き。左から右に向かって進み、折り返した後に、上から下に向かって文章の最後まで左から右に進む動きを繰り返す。
邦文(縦書き)
Nの動き。上から下に向かって進み、折り返した後に、左から右に向かって文章の最後まで上から下に進む動きを繰り返す。
折り込みチラシ
ランダムに視線を移動する。各情報の優先順位や重み付けがあまり無いので、どこから見始めても良いし、次に見る場所が制限されていない。
Windowsエクスローラ
Lもしくは逆Lの動き。任意の列を上から下に向かって進み、目的の情報が見つかるか、関連があると思われる情報の位置に来た所で、左右どちらかの方向へ動く。

基本の動きを組み合わせてみる

では、上記のようなパターンを組み合わせてみます。個人的にUIが優れていると思っている実例をあげます。分析してて自分で思ったのは、新聞というUIは非常によく考えられているということでした。以後、逆Nという言葉が出てきますが、これはNを左右反転させたものを意味します。

新聞
Z + N + ランダムの動き。遠目から見ると、ランダムに記事が配置されているように見えるが、基本は右上からNの動きとなる。しかし、見出しの強調によって、ランダムに視線を動かすことがほとんど。
その代わり、見出し周辺の文章を縦書き、もしくは横書きでブロックになるよう構成し、見出しにフォーカスした後にどう読み進めるべきか誘導している。
wikipedia
逆N + Z + リンクの動き。左上を始点として、基本はZの動き。ただし、左側にグローバルメニューとなるサイドバーがあるため、逆Nの視線移動となる。装飾は最小限に抑えられ、リンク色もデフォルトのままとしているので、予想外の動きがなく違和感無く読み進めることができる。
iTunesのグループ表示
逆N + Z + L + ジャンプの動き。かなり複雑な組み合わせだが、あくまで基本の視線移動の組み合わせ。サイドメニューから任意のプレイリストや項目を選択した後に、右側の一覧へ逆Nの動き。次にブラウズをZの動きで見ながら絞り込み。検索結果に対し、アートワークを基準に縦方向に探すLの動き、もしくはすでにアルバムまで特定している場合には、楽曲一覧に対してZまたはLの動きで見て行く。
また、希望の情報が見つからない場合には、Finderに向かって一気に視線をジャンプさせる。これはFinderが検索結果を変化させることができるという前提の植え付けによって行われる。

サイドメニューは左なのか?右なのか?

図で説明すれば簡単なんですが、あえて言葉にしています。疲れます。でも自分にとっては文章にするのが大事なんです。続けます。
さて、上記の実例のうち、wikipediaとiTunesに共通していることがあります。それはサイドメニューの位置が両方とも左であるということです。
いつからか、WEBの世界では右にグローバルメニューという考え方がでていました。個人的には違和感があります。結論としてはケースバイケースですが、情報の優先度や流れを自覚できているかどうかが大事と考えています。

頻繁に使われるものは、視線移動の開始位置が左上であれば、やはり左から始まる方が自然と考えます。加えて、ユーザが利用する機能の流れと一致していることが大事です。WEB以外で考えた場合、Visual Studioの画面作成モードでは、まずコントロールを選択する場所が左。実際に配置する画面が中央、そして配置したコントロールに対するプロパティは右と処理の流れにそっています。

逆に疑問を持つ例として私が真っ先にあげるのはブログの3カラムと右側にグローバルメニューを配置した場合です。ブログに関してはここのところ、3カラムでメインが左で右2カラムに残りをというレイアウトも見られます。これらについては、そのコンテンツの特性を考えれば答えは出せると思います。

ブログはその特性として、「トップに最新」「ユーザは最新の記事を基本的に追う」という2点があると思います。そうすると、真っ先に見たい情報はトップにあります。そしてZの動きで文章を読むとすれば、ブログの記事自体は左というのが自然と思います。その反対におくのは、記事よりも優先度の低いもの、もしくは記事を読んだ後に進むべきものとします。

ユーザを大きくリピータと初見に分けるなら、リピータにとっては視線移動の開始位置に記事があるというのは余計な視線移動がなく好都合と考えてくれると思います。初見については、Googleから検索してたどり着くか、リンクをたどってきたとして、他の記事も読みたいと思ったときに初めて、今見ている記事以外のコンテンツについて視線を移動すると思います。その場合、右にメニューがあるのはZの動きで考えると自然に動かせるでしょう。
ただし、スクロールによってサイドメニューが見えなくなっている場合には、逆Nの動きで画面ごと上部に戻って、右へ視線を動かす事になります。それを考えると、記事を読み終わった時にフッタで他の記事への誘導を見せるというのも余計な視線移動がなく、自然だと思います。

予測できる=解りやすい

様々なUIを見て思うのは、自分が行おうとしている動きについて予測しやすいというのは、非常にストレスが少ないという事です。おそらく、自分で思うようにコントロールできるという意識を植え付けるからです。
予測しにくいものでおもしろさをという場面は間違いなくありますが、日常的に使うもの、使用頻度が高いものについてはストレスにしかなりません。予想外がおもしろいのは最初だけ、つまりインパクト勝負になってしまいます。

私がUI設計の時に心がけているのは、複数回使うことを前提に、使うほど便利になっていくようにすることです。その場合、「予測しやすい」というのは短時間で慣れ、作業速度を上げて行くことに一役買います。もちろんここには、操作デバイスという概念ははずせないのですが、今は視覚に絞って進めて行きます。

ここまでで、ようやく外枠の部分が決まりました。次はより細部について考えて行きたいと思います。「予測しやすい」という側面で考えてきましたが、最も利用者の多い方法は常識となる – つまり、「デファクト」に従うことも必要ということについて考えてみます。

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作者について

青森県内でソフトウェア・システム開発を行うフリーランスのプログラマー。元々は集中監視システム開発に従事。現在はウェブサイト製作・オンラインシステムの開発案件を中心に、プログラミングのスキルトレーニングや講演も行う。

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